「VCの教科書: VCとうまく付き合いたい起業家たちへ」
ベンチャーキャピタル(VC)会社アンドリーセン・ホロウィッツマネージング・パートナーであるScott Kupor氏の著書なので、事例がUSであることと翻訳により繊細なニュアンスが伝わり難いことを考慮しても、教科書として一連のイベントの流れについてとても参考になりました。
(目次)
- バブルに生まれて
- ベンチャー・キャピタルって何だ?
・「リスクを回避してはいけない」。スタートアップへの投資のほとんどは失敗に終わる。成長せず、途中で退場する企業の方が多い。だが、Facebookに最初に投資するラウンドは、もう決して巡ってこない。次のFacebookやGoogleを失うことは、VCにとってキャリアの終わりとなる。
・VCにとって投資先が凡打やシングルヒット、1倍から数倍のリターンをいくら打っても話にならない。ホームラン、つまり10から100倍のリターンをもたらさなければ生き残れない。大事なのは打率ではなく、本塁打率なのだ。 - ベンチャー・キャピタルはアーリー・ステージの投資先をどのように決めるのか?
・人、製品、市場の3つに分類される
・”その証拠に、確固とした意見を持ちながらそれにあまりこだわらない創業者をVCは好む、とよく言われる。つまり、説得力をのある市場データを取り入れ、そのデータを用いて製品を発展させる能力があるという意味だ。確固たる信念を抱き、その過程でよく吟味すること。けれども、現実世界のフィードバックにもとづいて、「方向転換(ピボット)」できるということだ。”
・VCにとって最も重要なものは、創業者が追求する市場機会の最終的な規模ということがわかっている。不動産についての格言が、「一に立地、二にも三にも立地」ならば、VCの場合は、「一に市場規模、二にも三にも市場規模だ」。大規模な市場が好ましい。 - リミテッド・パートナーって何だ?
- リミテッド・エディション ー LPとVCの協力の形
- スタートアップを設立する
- ベンチャー・キャピタルから資金を調達する
- VCに響くピッチの基本技術
・ピッチの基本
①市場規模
②チーム
③製品
・あなたの思考プロセスを彼らに示し、確固たる信念と固執しない柔軟さがあることを、市場の変化するニーズに適応するが、製品開発の豊かな経験に裏付けられた豊富な知識や情報は持ち続けていることを、証明するべきである。
④市場規模
・たとえば、VCにピッチしているときに、あなたの市場進出計画は完全に間違っている、ピッチとは異なるやり方をするべきだとVCが提案したとする。これに対して、自分のプランを即座に捨てるのは間違った反応だ。最終的にはそちらのほうが正しい可能性があるとしても、あなたはそのビジネスに一生をかけてきたはずだ。VCはあなたのビジネスプランを1時間聞いただけなのに、ミーティングでかくもたやすく説得されるとなると、あなたのCEOとしての覚悟と適正に対して深刻な疑念が生じることとなる。どのようにその結論に達したか思慮深く熱心に議論し、フィードバックを傾聴し、必要に応じて自分の考えにそのフィードバックを取り入れるという姿勢こそが、その場でいきなりピボットするよりもはるかに良い対応だろう。
⑤次の資本調達ラウンドを計画する - タームシートの賢明な読み方① ー 経済的側面
- タームシートの賢明な読み方② ー ガバナンス的側面
- 取引のジレンマ ー キャップ・テーブルで比較する
- 取締役会の力学への目配り ー 法的制約を理解する
- 取締役の法的義務 ー 訴訟のリスクを減らすために
- 会社がうまくいかないときにどうするか ー 資金調達と資本構成の変更
- 望ましいイグジットの形 ー 株式公開と買収