今日の日経新聞ピックアップ(2022/8/21)
- インフレ税 お金の価値低下、債務「圧縮」
・物価上昇(インフレーション)でお金の価値が下がることで政府の借金の返済負担が実質的に軽くなること。
債務の額をインフレ率を上乗せした値で割り、減った分がインフレ税にあたる。例えば100億円の債務があって10%のインフレが起きた場合、実質債務は約90.9億円、差分の9億円強がインフレ税となる。
中央銀行を広く「政府」に含める場合、中銀が発行する貨幣などを計算に入れることもある。
・インフレ税は政府にメリットがあるが、政府債務はもともと国債発行などを通じて民間から調達したもの。
貸し手である家計など民間部門からみればマイナスになる。
購買力が民間から政府に移転する形になるため「税」の文字が付く。
インフレ率が高いほどインフレ税も増え、過度なインフレは経済活動を萎縮させる。
インフレが実質国内総生産(GDP)を下押しする作用が強すぎると財政改善は長続きしない。
・国際通貨基金(IMF)によると、2020年の主要先進国の政府債務の名目GDP比は127%と19年から約19ポイント高まり、第2次世界大戦後のピーク(1946年)の126%を上回った。
大戦後はインフレ税だけでなく復興需要による高い実質成長もあり、先進国債務はピーク時から10年間で半分以下になった。
現在は「主要国の人口の伸びが鈍化しており、成長による財政再建のハードルは上がっている」(東京海上アセットマネジメントの平山賢一氏)との指摘が多い。