暮らしと仕事のSDGs(2022/7/3)

NIKKEI BUSINESS DAILY 日経産業新聞
  • アンモニア製造に省エネ触媒 千代田化工建設など実証
    ・世界的な脱炭素の流れを受けて、燃やしても二酸化炭素(CO2)を出さないアンモニアの製造技術の開発が広がっている。千代田化工建設東京電力ホールディングス(HD)、JERAなどは新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から約200億円の補助金を受けて、製造コストの低減につながる新触媒を開発する。エネルギー消費の少ない製造技術を開発し、2027年度以降の大規模な実証実験をめざす。
     
    ・従来のアンモニアの製造方法は20世紀初頭に開発された「ハーバー・ボッシュ法(HB法)」が主流。
     化石燃料からつくった水素と窒素を合成して製造。
     (課題)
     製造過程でCO2を多く排出する。
     水素と窒素を合成するときにセ氏400~600度100~300気圧と高温高圧の条件が必要の為、多くのエネルギーを消費
     
    ・エネルギー消費の低減に向けて、3社はそれぞれ既存のHB法よりも低温低圧の条件下での触媒開発に取り組む。低温低圧での製造では貴金属のルテニウムを使った触媒が開発されてきたが、高価なためコストが高くなるのが課題だった。ルテニウムよりも安価な金属を使い、アンモニアの製造コストを従来よりも15%削減することをめざす。
    ・開発は3チームに分かれて取り組む。
    1.千代田化工建設は名古屋大学や九州大学、沼津工業高等専門学校と触媒を開発する。
      名大の永岡勝俊教授を中心に開発を進める。永岡教授が開発したコバルトを使った触媒の製造コストは、ルテニウムを使うよりも約70分の1に抑えられた。コバルトなど一般的に普及する金属を使い、コストを抑える。
    2.東京電力HDは京都大学と開発に取り組む。
      水素と酸素を含んだ金属である酸水素化物に含まれるヒドリドイオンという負の電荷を持った水素イオンを活用する。ヒドリドイオンが持つ電子が、金属を介して窒素分子の結合の切断を促す。鉄など一般的に普及する金属でも触媒をつくれる可能性がある。
    3.アンモニアの生産技術を開発するスタートアップのつばめBHB(東京・中央)と東京工業大学の開発チーム。
      東工大の細野秀雄栄誉教授が開発した「エレクトライド触媒」を活用する。エレクトライド触媒は電子が陰イオンとして働き、他の物質に電子を与えやすく、窒素分子の結合を切るのを促す。
     
    ・24年度までに3チームの中からより優れた触媒を採用する。30年度までに試験プラントで年数万トンのアンモニア製造をめざす
    ・太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーは天候に左右されるため、常に安定した発電量を確保するのが難しい。発電量が安定するアンモニアを使った発電が普及すれば、CO2排出量を抑えつつ、安定電源の確保にもつながる。脱炭素の目標達成に向け、アンモニアの製造技術の開発や普及が引き続き焦点となる。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です