今日の日経新聞ピックアップ(2022/7/1)
- 1~6月、高インフレで市場急変
円22円下落、米株20%安 低金利時代が転機に
・2022年1~6月の金融市場は歴史的な急変動となった。円相場は対ドルで22円円安と40年ぶりの下落幅となり、米国株は20%安(29日時点)と52年ぶりの下げ相場となった。米欧で1970~80年代以来の高インフレとなり、低インフレ・低金利の環境に慣れきった投資マネーにショックをもたらしている。経済構造の長期的な転換点との見方も広がっている。
・米国など世界の金利は1980年代前半をピークに下がり続けてきた。貯蓄拡大とデジタル化に伴う投資の伸び悩みはカネ余りを生み金利を抑えた。冷戦後のグローバル化などで物価も上がりにくくなった。
・ところが、「新冷戦」となり、コストより安全保障が優先されるケースも出てきた。「脱炭素」はエネルギー価格を押し上げている。欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は29日、「低インフレ環境に戻るとは思わない」と語った。 - 低金利
貯蓄増やインフレ率低下が背景
・代表的な金利には長期金利の指標となる10年物国債の利回りがあり、経済の状態などを映すといわれている。1980年代前半に10%を大きく超えていた米長期金利は趨勢的に低下が続き、2020年には0%台まで下がった。
・金利低下の理由には様々な指摘がある。
・ひとつは高齢化に伴って貯蓄が増え、国債に向かう資金が多くなった点だ。国債の価格と金利は逆方向に動くという関係があり、国債価格が上がると金利は下がる。
・一方でデジタル化によって知識集約的な産業が拡大し、設備投資が増えず資金が余りがちになったとみられている。
・インフレ率の低下も原因とされる。グローバル化で価格競争が激化したり、労働組合が減って賃金があがりにくくなったりした。中央銀行が金融緩和をして金利を下げてもインフレ率は高まりにくく、低金利が長期化するようになった。米中対立などによるグローバル化の停滞や欧米での労働組合結成の動きがインフレを高める転機になるとの指摘がある。