電力会社間の統一需給システム

大手電力9社、需給システムを統一 電力融通しやすく

(日経新聞 2023/08/31 朝刊記事)

東京電力パワーグリッド(PG)など大手電力の送配電9社は31日、2020年代後半をメドに需給調整システムを統一すると発表した。9月1日付で新会社を設立し、システムを開発する。再生可能エネルギーの普及で需給が逼迫しており、地域間の融通をしやすくする。

東電PGなど大手電力の送配電10社が9月1日付で、送配電システムズ(東京・千代田)を立ち上げる。沖縄電力は需給管理システムは統一しないが、新会社に参画する。出資比率は沖縄電力が1%で、他の9社は11%ずつ。

<日経新聞 2023/08/31 朝刊記事>

23年度内にも新たな需給管理システムに必要な機能を決める。各社ごとに現在のシステムの更新時期は異なっており、20年代後半から順次導入を始める計画。

電力の需給調整は各電力会社が司令塔である「中央給電指令所」を設置して日々行っている。太陽光の出力が落ちる夕方から夜にかけて需給が逼迫しやすく、他電力から緊急で融通するなどやり繰りに苦心していた。

中央給電司令所は発電コストが安い近隣の電源から電力を調達するが、送電線の空き具合を十分考慮した指示ができないため、電力をうまく調達できないこともあった。新システムでは考慮できるようにし、円滑に融通できるようにする。

需給管理システムを統一することで仮に自然災害が起きて司令所の機能が停止しても、他の電力会社の司令所からバックアップできるようにする。大手電力間でリスクを分散でき、多額の費用がかかるシステム改修費も減らすことで経営の合理化を図る。

再生エネの普及で送電線の空き容量が不足しており、全国で太陽光や風力の稼働を一時停止する出力制御が広がっている。4月には中部電力が大都市圏では初めて実施した。国は送電線の増強に加え、送配電会社ごとに異なる需給管理システムも一本化することで再生エネを主力電源にさせる。

新会社では電気の使用データを集めるシステムも立ち上げる。10月から法改正で電力データを有償で電力会社以外に提供できるようになる。システムでは各家庭の電力データを一括して集約でき、自治体や企業に円滑に提供できるようにする。

東電PGのエリアから月次や日次のデータの提供を順次始める。25年上期には、30分単位の使用量などをリアルタイムで配信できるようにする計画だ。

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