LINE + ヤフー = ?
ZHDとLINE・ヤフーとの『3社合併』について良く判らなかったので整理してみました。
ヤフーとLINEは2019年に『経営統合』を発表し、2021年3月にこれを完了しています。
このときの経営統合とは、ヤフーとLINEがZHDの子会社になるという意味でした。
目的は「スピード」感あふれる経営。ZHD、LINE、ヤフーという3つの会社それぞれに取締役会、経営会議があり、意思決定に時間がかかっていたとのこと。
「各社で、個別最適になっていた面もあった」ところを解消し、ZHD、LINE、ヤフーの3社を1つの事業会社として合併してプロダクトファーストで進める「真のワンチーム」にするのが合併の狙いとのことです。
なお、同じZHD傘下にあるPayPayやZOZOは合併の対象とはなっていません。
「LINEとヤフーの間とらず」ライブドア再建請負人の決意
LINE・ヤフー 背水の合併(4)
(日経新聞 2023/06/02 朝刊記事)
「皆さん能力が高くて頭がよい。誰がやってもいいかなと思っていた」
10月に発足するLINEヤフーの新たな経営体制を問われた筆頭株主ソフトバンク社長の宮川潤一は2月の会見でこう説明した。表向きは「誰でもいい」と言いつつ、実はLINE出身の出沢剛を社長に強く推したのがほかならぬ宮川だった。
ヤフー社長も務めた川辺健太郎とは長い付き合いだが、なぜ出沢だったのか。統合が進まない「空白の2年」の間にも、出沢はLINE銀行の設立を止めるなど厳しい決断を下してきた。宮川はその仕事ぶりを高く評価していたという。「彼とは腹を割って話せる」
出沢には修羅場をくぐり抜けてきた過去がある。生命保険会社から「社外留学」として派遣された縁で転籍したライブドアに激震が走ったのが2006年のことだ。社長の堀江貴文が証券取引法違反の疑いで逮捕された。激しいバッシングを受け、収入源のネット広告が9割減った。手堅く育ててきたモバイル事業を柱に乗り切ったのが、堀江の後を継いだ出沢だった。
実は出沢には秘めた野望があった。ライブドアはファンド傘下に入ったが、出沢ら経営陣が買収するMBOによる独立を構想していたのだ。だが、願いはかなわず韓国ネイバーの日本法人に売却される。ファンドに自らの成長性を認めさせることができなかった。「夢破れたとの思いが、正直言ってあった」
出沢が追い続けたのがヤフーだった。だが、その背中は遠くついに届かなかった。ヤフーでモバイルシフトの旗を振っていたのが川辺だ。互いの手の内を知る2人が手を握ったのが、2年前の経営統合だったのだ。
出沢が胆力を発揮したのが、ネイバー傘下に入ってからだった。11年にネイバーが開発したLINEが爆発的な成長を見せると、自ら率いてきたライブドアの力をLINE一本に絞るよう提案した。SNSという新しいビジネスの芽を育てるため、実質的に古巣を捨てた。
出沢は4月下旬の会見で、融合が進まなかったLINEとヤフーの溝を埋めるため「中途半端に両社の間をとるようなことは避ける」と言い切った。荒波を乗り切った再建請負人は、かつて夢を打ち砕かれた因縁の相手の底力を引き出し、新たなイノベーションを創り出せるかが問われる。(敬称略)