EUは再生エネの普及が急ピッチ

EUの再生エネ、初めてガス抜く
風力・太陽光発電量、昨年22% 侵攻機に投資拡大

(日経新聞 2023/02/02 朝刊記事)

欧州連合(EU)で風力や太陽光など再生可能エネルギーの発電量が2022年、初めて天然ガスを抜いたことが分かった。ロシアのウクライナ侵攻を機に化石燃料依存の解消をめざす動きが広がった。エネルギー安全保障の観点から再生エネの普及は23年も急ピッチで進む見通しだ。

英シンクタンクのエンバーが1月31日公表した報告書によると、22年のEUの風力と太陽光の発電量は全体の22%を占め、初めてガスを抜いた。風力・太陽光のシェアが3ポイント強増えた一方、ガスは1ポイント弱増の20%だった。

侵攻開始直後は各国でエネルギーを確保する動きが強まり、石炭の引き合いも強まった。石炭のシェアは1.5ポイント増の16%だった。

<日経新聞 2023/02/02 朝刊記事>

再生エネ、ガス、石炭いずれもシェアが増えたのは、記録的な渇水で水力の発電量が落ち込んだのに加え、フランスを中心に原子力発電所の不具合が相次ぎ、運転が停止したためだ。

大きく伸びた太陽光がその大部分を補った。発電能力41ギガ(ギガは10億)ワットの設備が新たに設置され、発電量は過去最高の24%増の203テラ(テラは1兆)ワット時を記録した。

23年は政策支援を追い風に再生エネの発電量は2割程度増える一方、原子力や水力も回復することから、化石燃料の発電量は2割落ち込む可能性がある。新型コロナウイルス禍での落ち込みよりも大きい。「22年は緊急対応を超えて長く続く、深い変化の始まりだったことが示唆されている」(エンバー)という。

再生エネが広がったのは欧州だけではない。調査会社ブルームバーグNEFによると、22年の低炭素エネルギーへの移行に関する世界の投資は前年比3割増の1.1兆ドル(約140兆円)に達し、化石燃料への投資と初めてほぼ並んだ。

国別でみると、けん引した中国が5460億ドルを占め、EUが1800億ドル、米国が1410億ドルと続いた。再生エネと、電気自動車(EV)といった運輸部門への投資が全体の8割程度を占めている。

各国が再生エネ拡大策を中心とした対応に乗り出したのは、ロシアのウクライナ侵攻を機に、化石燃料の輸入に頼るリスクの大きさを目の当たりにしたことが大きい。ロシアは欧州を動揺させようとエネルギー供給を絞り込んだ。

各国は再生エネや原子力といった「国産」の非化石燃料へのシフトを進めようと巨額の予算をエネルギー・気候変動対策に投じている。

米国は歳出・歳入法(インフレ抑制法)に3690億ドルのエネ安保と気候変動対策を盛り込み、EUはロシア産エネ依存の脱却をめざす計画「リパワーEU」をまとめた。日本や中国、インドもクリーンエネの導入を急いでいる。

英BPは30日公表したエネルギー見通しで、世界の30年時点の二酸化炭素(CO2)排出量を前年予測から3.7%引き下げた。各国の対策が中長期にわたって続くとみているためで、50年時点では9.3%下方修正した。再生エネのシェアは19年の10%から50年には35~65%になるとみる。

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