今日の日経新聞ピックアップ(2023/1/18)

  1. 火力発電でCO2「ゼロ」 アンモニア活用、IHI・GE開発へ
    IHIと米ゼネラル・エレクトリック(GE)が二酸化炭素(CO2)を燃焼時に出さないアンモニアを燃料に発電するガスタービン開発で提携する。IHIのアンモニア燃料の知見とタービン世界大手GEの技術を持ち寄る。火力発電所が多く代替需要が大きいアジアを開拓する。脱炭素に対応するため重工大手で連携の動きが出てきた。
    ・アンモニアだけを燃料に使う、40万キロワット程度の発電能力を備えた大型タービンを共同開発する。天然ガスからの燃料切り替えを狙う。燃焼装置を改良し、燃えにくいアンモニアの燃焼効率の向上などに取り組む。
    ・資源エネルギー庁などの試算では天然ガス由来のアンモニアを燃やした発電コストは石炭火力の2倍以上に上る。天然ガスなど化石燃料由来は製造時にCO2を出し、CO2削減につながらない。CO2を抑える再生エネ由来アンモニアは製造費が化石燃料由来の数倍になるとの調べもある。
    ・IHIはオーストラリアなどで再生エネ由来のアンモニアの調達網構築に取り組んでおり、こうしたアンモニアを生かす。現時点はコストがかさむ課題もあるが、先行的に事業に取り組みコスト削減などを急ぎ、競争を優位に進める構えだ。
  2. 川崎重工、水素燃料の船舶エンジン 24年度に実験
    川崎重工業は、ほぼ水素のみを燃料とする船舶向け推進用エンジンを開発する。2023年度にジャパンエンジンコーポレーションの本社工場(兵庫県明石市)で実証設備をつくる。24年度に実験を始め、27年度には船舶に搭載する計画だ。造船業界で脱炭素に向けた技術開発が進む中、燃料のほとんどを水素でまかなう大型の推進用エンジンの開発は世界で初という。
    新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の支援を受け、ヤンマーパワーテクノロジー(大阪市)なども参画する。エンジンの起動時には通常の船舶用エンジンと同じ低硫黄重油を使うが、航行時は水素のみを燃料とするエンジンを開発する。低速・中速・中高速のエンジンと、水素をエンジンに供給するシステムの実証実験を進める。
    ・実証設備には水素エンジンのほか、水素の貯蔵タンクや配管などシステム全体を設置する。24年度から貯蔵から燃焼に至る工程を試験する。27年度には川崎重工が開発中の大型の液化水素運搬船に搭載する方針だ。将来的には石炭や自動車などを運ぶ近海船、内航船にも導入を広げる計画だ。
    分子量が小さい水素は、ガス漏れを起こしやすい。着火に必要なエネルギーが小さく燃焼速度も速いため、燃焼のコントロールも難しい。川崎重工は天然ガスを燃焼させる発電用のガスエンジンで全体の3割まで水素を混合して燃焼できる技術を開発済みで、培った水素技術を応用する。
    ・国際海事機関(IMO)は船舶が排出する温暖化ガスを50年までに08年比で50%以上削減する目標を掲げている。国内の造船業界ではツネイシクラフト&ファシリティーズ(広島県尾道市)がベルギー海運大手のCMBと業務提携し、水素と軽油の混焼エンジンで動く世界初の旅客船を開発している。

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