今日の日経新聞ピックアップ(2022/12/6)

  1. 企業価値100億円超、2割増
    NEXTユニコーン クラウド関連・製薬台頭

    ・未上場スタートアップが逆風下でも裾野を広げている。日本経済新聞社が2022年「NEXTユニコーン調査」を実施したところ、推計企業価値が100億円超の企業は97社と前年比で2割増えた。デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する動きが広がるなか、着実に伸びるデジタル化需要を捉えたIT(情報技術)関連などが浮上した。
    ・調査は日本ベンチャーキャピタル協会(JVCA、東京・港)と投資家向けサービスのケップル(東京・渋谷)の協力を得た。国内の未上場企業172社について、上場企業の時価総額に相当する9月末時点の企業価値を算出した。
    100億円超の企業は過去最多を更新した。業種別でみると、業務効率化ソフトをクラウド上で提供する「SaaS(サース)」関連や製薬・医療機器などが企業価値を高めた。
    ・企業価値が前年比2.6倍の215億円となったHRBrain(HRブレイン、東京・品川)は企業のデジタル化需要を捉え、人事管理ソフトが伸びている。がん領域に特化した医薬品を開発するコーディア・セラピューティクス(神奈川県藤沢市)は2.4倍の149億円となった。
    ・米欧が金融引き締めに転じたことで、活況だった市場の風向きは変わった。米調査会社のCBインサイツによると、世界のスタートアップの資金調達額は22年1~9月に3292億ドル(約45兆円)と前年同期に比べ3割近く減った。
    ・投資家は選別姿勢を強め、より成長途上の段階にある有望企業を探している。企業価値10億ドル(9月末時点で約1400億円)以上の「ユニコーン」は円安影響もあり、1社減の4社だった。
    ・CBインサイツによると、米国のユニコーンは600社を超える。市場変調のなかで投資マネーを呼び込み続けられるか。日本のスタートアップが岐路に立っている。
  2. 〈Next Unicorn〉車や法務、デジタルで変革 企業価値ランキング 新規ユニコーンなし
    ・日本経済新聞社がまとめた「NEXTユニコーン調査」では、自動運転や法律業務のデジタル化など人工知能(AI)で市場を変えようとする企業が躍進した。ただ、2年ぶりに企業価値10億ドル(約1400億円)以上の新規のユニコーン企業は生まれなかった。世界的な金融引き締めで資金調達の環境は厳しくなっており、未上場企業の選別が強まっている。
    ・上位20社の企業価値合計は1兆9804億円と、2021年の20社合計から12%増にとどまった。37%増だった21年に比べ、伸び率は鈍化している。その中で、AIで業界を変えようとする企業が上位に並んだ。

    7位のティアフォー(名古屋市)は今回から企業価値調査に回答し、908億円と高い評価をつけた。AIなど自動運転の基本ソフト(OS)を手掛けており、国内外で500社以上が利用する。23年の自動運転の公道解禁を控え、7月にSOMPOホールディングス(HD)やヤマハ発動機などが計121億円の資金調達に応じた。
    ・AIによる契約書の審査ソフトを手掛ける8位のリーガルオンテクノロジーズ(東京・江東)の企業価値も891億円と前年(310億円)から躍進した。9位のアンドパッド(東京・千代田)は紙やファクスを使う業務が根強く残る建設業界においてデジタルで効率化を進め、500億円近く企業価値を伸ばした。
    ・上位30社には決済や融資を効率化するフィンテック企業も顔を出す。法人カードのUPSIDER(アップサイダー、東京・港)や新興国で低所得者向けのマイクロファイナンス(小口融資)を手掛ける五常・アンド・カンパニー(東京・渋谷)も並んだ。
    ・一方で、企業価値が10億ドル以上のユニコーンは今回は新規ではゼロだった。米調査会社のCBインサイツによると、世界でも22年7~9月に生まれたユニコーンは24社にとどまり、136社だった前年同期間に比べて大きくペースを落とした。21年までは世界的なカネ余りで潤沢な資金を得ていたが、米国の急速な利上げなどを受けて逆風が吹いている。
    海外では株価を引き下げて資金を調達する「ダウンラウンド」や人員削減も相次ぐ。投資家に高い成長を示せぬまま、資金調達ができずに行き詰まるスタートアップが相次ぐ恐れもある。
    ・未上場のスタートアップの企業価値はこれまでは拡大基調が続いてきた。厳しい冬の時代を迎えるなかで、新規株式公開(IPO)から他社とのM&A(合併・買収)など戦略を見直す企業が出てくる可能性がある。

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