ピラミッドの底力。日本を支える「99.7%」の歴史的ルーツ ~第2回

戦後復興のエンジンとなった分業システム

日本の街を歩けば、至る所に小さな看板や町工場が並んでいます。「99.7%が中小企業」という数字は、単なる偶然の産物ではありません。これは、戦後から高度経済成長期にかけて日本が選んだ、独自の経済成長モデルの結晶なのです。限られた資源を効率よく回すために、日本は「垂直分業」というスタイルを磨き上げてきました。

下請け構造と「職人気質」が育んだ強み 

かつて、巨大な自動車メーカーや家電メーカーを頂点に、無数の中小企業が連なる「ピラミッド構造」が形成されました。大企業が完成品を組み立て、そのための精密な部品を、地域の中小企業が担う。この関係は単なる「上下関係」ではなく、世界を驚かせた「日本の品質」を支える共同体でもありました。

特に、現場で働く人々の「職人気質」は、日本の製造業の心臓部となりました。「図面以上のものを作る」という中小企業のプライドが、大企業の製品に付加価値を与え、メイド・イン・ジャパンのブランドを不動のものにしたのです。しかし、現代ではこの構造が変化し、大企業への依存から脱却し、自ら販路を拓く「自立型中小企業」への進化が求められています。

歴史を振り返れば、中小企業の歴史は「適応」の歴史でもありました。時代に合わせて形を変え、技術を磨き続けてきたからこそ、この99.7%という数字が今も維持されているのです。

次の時代の「主役」になるために 

過去の成功モデルだった下請け構造は、今、新しいステージへと向かっています。大企業の背中を追いかける時代から、中小企業が自ら価値を定義し、発信する時代へ。歴史が証明しているのは、日本の真のクリエイティビティは常に「現場」にあるということです。私たちは今、その歴史の新しい1ページを書き始めようとしています。

これに関連して、下請法から取適法への法律改定の意義についても、また別途コラム化しようと思っています。

#中小企業診断士 #AIかずほ #日本経済の歴史 #中小企業の底力 #職人気質

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です