東京イノベーションベース(TIB)
Innovation Base Tokyo と Tokyo Innovation Base
同じような名前のふたつの違いがよく解らない…プラットフォームと拠点の違いなのだろう。
Innovation Base Tokyoは、シーズやニーズ等の情報を集積し企業や大学、行政機関などとスタートアップをマッチングする「オープンイノベーションプラットフォーム」。
Tokyo Innovation Baseは、東京からイノベーションを巻き起こすことを目指し、国内外からスタートアップやその支援者が集い、交流する「一大拠点」。
東京都、スタートアップに支援の輪
5月に新拠点開業
(日経新聞 2024/4/25 朝刊記事)
ベンチャーキャピタル(VC)や企業、大学、行政が連携し、スタートアップを支援する東京都の新施設「東京イノベーションベース(TIB)」が5月から本格的に稼働する。施設はイベント場や会議室などがすべて無料。金銭的な負担がなく、使い勝手も良い環境を整えることで、東京の活性化の芽となる起業を後押しする狙いだ。
TIBはJR有楽町駅から徒歩1分。主に建物の2〜3階をフロアとし、総面積は約5500平方メートル。スタートアップの支援拠点としては国内最大規模だ。設備はイベント会場や会議室、作業スペース、ドリンクバーなど多彩だ。
登録すれば、スペースや機器設備などの利用料は無料。イベントを開く際も無料でTIB事務局が運営を支援する。試作品を製作できる簡易な製造機器も備える。設備の使い方などをサポートする技術者がいるので、商品のアイデアなどを検証や改良につなげられる。試作品はTIB内で実証展示することもできる。
TIBはオフィスとして特定の企業が入居するのではなく、スタートアップやその支援に関わる人が気軽に出入りする「ハブ」を目指す。都スタートアップ・国際金融都市戦略室の担当者は「支援者同士がつながったり、スタートアップ関係者や起業家が出会ったりする場にしたい」と意気込む。
このため、スタートアップ支援者をいかに集めるかが成功のカギを握る。2023年11月にプレオープンし、認知度向上を目的としたイベントなどを重ねてきた。
支援者側は「TIBパートナー」と呼ぶ制度に登録すると、支援に関する内容であれば自由にイベント会場として使える。4月までにパートナーは約200社となり、イベント開催数も100回を超えた。累計の来場者数は1万人以上になったという。
4月上旬には、ロンドンやドバイを拠点とする世界最大規模の会員制ビジネスプラットフォーム「ADAM Global」が主催する会議が日本で初めて開かれた。ドバイ商工会議所の日本オフィスが支援し、海外から集まった投資家ら数十人が日本の投資環境やビジネストレンドなどについてスピーチや意見交換した。
きらぼし銀行と韓国系のSBJ銀行は共催で「日韓スタートアップ交流会」を開いた。日韓のスタートアップ計10社が集結し、日本への進出を検討する韓国企業も。日韓の経営者が「協業の可能性などについて議論した」(参加企業の担当者)という。
スタートアップの支援は民間会社による事業提携や自治体による活動の受け皿の提供、投資会社による経営戦略の策定支援など多岐にわたる。一方、スタートアップ側の事業の熟練度は千差万別で、お互いに納得できるマッチングが欠かせない。
5月以降はこうした両者のニーズを調整し、引き合わせる取り組みを始める。登録制度のような形で「スタートアップに提供したいこと」と「希望するサポート」を聞き取り、調整する。両者が実際に連携する場所としてTIBを使ってもらい、具体的な協業や出資などへの発展を促す。
起業の挑戦者だけでなく、支援者同士の自然発生的な連携が生まれ、出資や事業提供などの手厚い支援が絶え間なく続く好循環を生み出せるか。まずはTIB自体が「使い倒される場所」として評価を得ることに尽きる。