「光電融合」技術で世界に覇することができるか IOWN

IOWN(アイオン)はNTTがグローバルでの復権の切り札とする構想。
データセンターの需要とデータ流通量が爆発的に増え続けるなか、光半導体として消費電力を100分の1に抑える光電融合技術としてIOWNへの注目は高まっている。
情報通信の国際規格を定める国際電気通信連合(ITU)などを通じ世界標準を目指しているとのこと。
NTTの研究開発の集大成であるIOWNが、今回こそ上手な仲間づくりを行って、世界市場においてビジネス上の標準となることを期待しています。

NTT、光の半導体開発で米韓と連合 政府450億円支援

(日経新聞 2024/1/29 日経スクープ記事)

NTTは次世代通信基盤「IOWN(アイオン)」の中核技術で大幅な消費電力削減につながる光半導体を開発する。米インテルなど半導体メーカーと連携し、韓国半導体大手のSKハイニックスとも協力する方向で調整する。日本政府が計約450億円を支援する。データインフラはデジタル社会の要となる。日米韓連合で国際標準のデータ基盤技術の確立を狙う。

IOWNはNTTが得意とする光技術を使い、低消費電力で大容量データをやりとりできる。2030年ごろに普及が見込まれる次世代通信規格「6G」の通信・データインフラ網への活用を見込み、国際標準を狙っている。

低消費電力を実現するカギとなるのが「光電融合」の技術だ。光電融合は電子処理を光に置き換える技術で、半導体内部に組み込めれば大幅に消費電力を減らせる。

生成AI(人工知能)の普及により、世界のデータセンターの電力消費は急増している。科学技術振興機構は、30年の消費量は18年比で14倍以上の2600テラワット時になると予測する。

膨張する消費電力を削減するには光技術を使った半導体の量産が欠かせない。データ処理が膨大となり、半導体の消費電力が急増するなか、日米韓連合で光半導体を実用化できれば、IOWNの世界的な普及を後押しできる。

現在は光通信で届いた情報が、専用の装置を経由して電気信号に変換され、データセンター内のサーバーに届けられる。サーバー内部では半導体が電気信号をやり取りして、計算・記憶の処理を進める仕組みだ。

光電融合では、光信号で処理される範囲が広がり、半導体が集積する基板内部、1つの半導体チップ内部の処理も段階的に光に置き換えられていく。

電気と比べ高速な光通信での処理を実現するには、各半導体メーカーと足並みを合わせる必要がある。NTTは演算用の半導体を手掛けるインテルや、記憶用の半導体を手掛けるSKハイニックスといった企業と必要な技術の擦り合わせなどで協力する。

日経新聞 2024/1/29 日経スクープ記事

光電融合を巡ってはNTTを中心に日本勢が世界の先頭集団を走ってきた。近年は中国も米国との対立を背景に研究開発で追い上げる。日米韓の連携で技術を確立し、将来のデータインフラでカギを握る光半導体の主導権を盤石にする。

NTTは今回、光電融合の機器開発に取り組む業界横断の国際協調の枠組みを整えた。インテルやSKハイニックスと連携するほか、半導体基板の新光電気工業や半導体メモリーのキオクシアなども参画する

経済産業省が所管する新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が、次世代通信規格「6G」向け通信基盤の研究開発事業として計3件を採択し、計450億円を支援する見通し。

今回、NTTなどは28年度までに半導体の内部に光を取り込む機器の生産技術の確立や、テラビット級の速度のデータを記憶できるメモリー技術などの確立を目指す。従来比3〜4割の消費電力削減を目標とし、インテルは生産技術について助言する。

NTTはIOWNの実現に向けて20年に国際団体を立ち上げた。インテルやソニーグループなど国内外の138の企業・団体が参加し、技術仕様などの策定を進めている。

IOWNでは電力効率を段階的に高める構想を描く。25年度には10倍前後、32年度には100倍となる見込み。伝送容量は28年度に125倍となり、遅延の長さは既に200分の1まで縮めている。エンタメや街づくりで導入が始まっているほか、防衛への活用も視野に入れる。

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