2050年に向け東京・南関東に人口集中

11県、50年に人口3割減
東京都、40年ピークに減少

(日経新聞 2023/12/23 朝刊記事)

厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所は22日、2050年までの地域別の将来推計人口を公表した。20年から25年にかけて46道府県で人口が減り、東京も40年をピークに減少に転じる。50年には11県で20年と比べた人口が3割以上減る。人口減を前提とした社会や制度の構築が急務となる。

4月に公表した全国推計をベースに自治体ごとの人口推移を示した。日本全体の人口は50年に1億人超と足元から17%減る見通しとなった。外国人の流入増に伴い人口減少のスピードはやや緩和するが、減少傾向は変わっていない。

地域別の推移をみると減少の速度はバラツキが大きい。20年の人口との比較では秋田、青森、岩手県は50年に4割程度減り、都道府県で最も人口が減少する。高知県も3割強減る。減少スピードが速い11県で人口全体の3割以上が減る見込みだ。

現在の水準から当面増加が続くのは東京都のみだ。東京都は40年から減少しても、50年時点の人口は20年よりなお多い。前回18年の推計では、全ての都道府県で人口が減り始めるのは30年からとしていた。

高齢化も一段と進む。50年には25道県で65歳以上の人口割合が4割を超す。残りの地域も29.6%を見込む東京を除けば3割を上回る。秋田では高齢者の割合が49.9%に達し、人口の半分が65歳以上となる。

市区町村別では50年に人口が20年の半数未満となる地域がおよそ20%ある。市区町村全体の95.5%で人口が減ることになり、増えるのは一部にとどまる。

静岡県長泉町は全国に先駆けて未就学児の医療費助成に取り組んできた。手厚い子育て支援が功を奏し、若い移住者を中心に人口が増加傾向にある。

50年の推計人口は20年比で5.9%減と小幅な減少に抑える。23年度も第2子の保育料完全無料化、妊産婦のタクシー利用補助など新たな支援策を導入する。

人口急減や少子高齢化に見舞われる大半の自治体は、社会保障制度や街づくりで困難に直面する。

例えば介護保険制度は市区町村を一つの単位にしている。高齢化が進めば必要な給付費も膨らみ続ける。人口減とあいまって保険料の上昇として跳ね返る可能性がある。

推計は5年ごとにまとめる。今回の対象は1883市区町村と福島県「浜通り地域」の計1884だった。 

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