2024年度 政府予算案 (GX)
GX・国内投資 脱炭素へ洋上風力後押し
(日経新聞 2023/12/23 朝刊記事)
政府は2024年度予算案でグリーントランスフォーメーション(GX)関連で6633億円を計上した。50年に温暖化ガスの排出量を実質ゼロにする目標に向け、再生可能エネルギー分野への投資を加速する。
脱炭素社会の実現に欠かせない洋上風力発電や再生航空燃料(SAF)などといった分野の国内生産も後押しする。
これらの主な原資となるのは資金の使い道を脱炭素事業に絞った「GX経済移行債」だ。
これから10年間で20兆円規模の資金を調達し官民で150兆円を超える脱炭素投資につなげる。発行開始は24年2月だ。23年度は1.6兆円、本格化する24年度は1.4兆円の発行を見込む。
GX関連予算のうち脱炭素につながる国内の供給網(サプライチェーン)の整備事業には548億円を投じる。(1)水素を生み出す水電解装置や蓄電池(2)建物の壁面に設置できるような軽くて曲がるペロブスカイト太陽電池の量産技術の確立(3)浮体式を含む洋上風力発電の導入を促進するための部材費用補助――などを対象とする。
電気自動車(EV)普及に向け、蓄電池の製造支援に2300億円を盛り込む。EV電池などの製造設備の費用を補助する。
生産工程で二酸化炭素(CO2)排出量の多い鉄鋼や化学などに327億円を充てる。鉄鋼ではCO2排出の少ない電炉への転換支援などをする。国内産業部門のCO2排出量のうち鉄鋼が35%を占めており、脱炭素が急がれるためだ。
脱炭素を手がけるスタートアップの育成支援には410億円を充てる。
燃料分野では廃食油などを原料とするSAFに関し、国内で製造・供給できるよう原料調達の支援策として276億円を確保した。水素燃料船やアンモニア燃料船などゼロエミッション船の普及には94億円を充てる。建造に必要な生産設備の導入を国が補助する。