政府GX予算概算要求 2兆円
政府、GX予算に2兆円超 複数年度で民間投資促す
概算要求 蓄電池や半導体念頭
(日経新聞 2023/08/23 朝刊記事)
政府は2024年度予算の概算要求で、脱炭素に向けたグリーントランスフォーメーション(GX)分野に2兆円超を要求する。蓄電池や半導体、水素関連装置などGXに欠かせない製品の国内生産を集中支援する。複数年度にわたって予算を使えるようにして民間投資を後押しする。
23日に開催する政府のGX実行会議に要求案を示す。
2兆円超のうち1.2兆円超は24年度の予算となる。脱炭素の実現には官民による長期にわたる取り組みが重要になるため、残りの予算は3~5年程度かけて執行できる仕組みにする。次年度以降の措置を約束する「国庫債務負担行為」を活用する。
たとえば脱炭素につながる国内の供給網(サプライチェーン)を整備する事業には5年間で1.2兆円を投じる。水素を生み出す水電解装置や蓄電池、薄型で建物の壁面などに設置できるペロブスカイト太陽電池、洋上風力発電などの国内生産を後押しする。
電気自動車(EV)や再生可能エネルギー関連機器にも使われるパワー半導体も対象にする。
次世代型原発と位置づける高温ガス炉や高速炉の研究開発支援には、3年間で1500億円超を盛り込む。
脱炭素に取り組むスタートアップの育成支援には5年間で2000億円超をあてる。EVや燃料電池車(FCV)の導入支援、充電設備の整備に1400億円程度を盛る。
要求段階で具体的な金額を明示しない「事項要求」として、生産工程の脱炭素化の取り組みや、水素の普及に向けた化石燃料との値差支援、再生航空燃料(SAF)の製造設備支援を挙げた。
脱炭素投資を巡っては、欧米をはじめとする各国政府も自国への投資を促進するための長期にわたる大規模支援を相次ぎ打ち出している。
米政府は22年に成立したインフレ抑制法(IRA)によって50兆円規模の支援を打ち出し、EVや再生エネの投資を呼び込む。
欧州連合(EU)も水素や電池を域内で生産する体制の構築を急いでいる。
日本では5月にGX推進法とGX電源法が成立し、脱炭素に向けた取り組みが本格化している。今後10年間で官民合わせて150兆円超の投資を目指す。