再エネ導入の課題 電力需給コントール
地政学リスクや天然資源の高騰などによって電力料金が上がっている。
折角、太陽光・風力発電による発電が順調に増えてきていても、再エネ電力活用のための「蓄電設備」や「送配電網」による「電力需給コントロール」が十分に整備されないと、再エネの出力制限というもったいない対応となり、電力料金引き下げに貢献もしない。モッタイナイ。
関電、初の出力抑制
きょう実施 太陽光・風力の一部
(日経新聞 2023/05/04 朝刊記事)
関西電力子会社の関西電力送配電は3日、一部の太陽光・風力発電事業者の稼働を一時的に停止する「出力制御」を4日に実施すると発表した。関西エリアで出力制御を実施するのは初めて。脱炭素に向けた再生可能エネルギー発電のさらなる拡大に向け、電力需給の調整弁となる送配電網や蓄電設備の整備が求められそうだ。
4日午前9時から午後1時半まで、太陽光と風力の再生可能エネルギー電源を持つ発電事業者の一部に出力しないよう指示した。休日で工場の稼働が減り電力需要が下がるが、好天により太陽光発電の出力が伸びて供給が需要を上回る見通し。大型の発電設備に限られるため、一般家庭は対象とならないという。太陽光・風力の出力制御量は時間によって異なるが、42万~52万キロワット程度とみられる。
電力の需給バランスが崩れると大規模停電などが発生するリスクがある。4月には中部エリアでも初めての出力制御が実施されており、需要が比較的大きい大都市圏でも需給調整が難しくなっている。出力制御を実施していないのは東京電力パワーグリッド管内のみとなる。
関西エリアでも再エネ発電設備の導入が進む。太陽光と風力で接続済みの発電設備量は2023年4月末段階で718万キロワットと、比較可能な18年10月末に比べて43%増えている。
関西電力や九州電力などを除く電力大手7社は、6月に規制料金の値上げを実施した。液化天然ガス(LNG)など燃料費用の高騰を受けたものだ。
蓄電設備や送配電網が十分に整備される前段階では、出力が安定しない再エネに依存した電源構成は難しく、電力料金などへの直接的な影響はなさそうだ。