AIにはまだまだ負けない
丁度、2016年に世界トップ棋士が囲碁AI「アルファ碁」に敗れて涙したというスタートアップの本を読んでいたのと、ChatGPTを試してみて思った以上に?と思う解答があったので、とても面白い記事だと思いました。
機械学習の課題なんでしょうか。
囲碁AI、アマに完敗 未知の戦略に対応できず
活用へ課題浮き彫り
(日経新聞 2023/02/22 朝刊記事)
囲碁のアマチュアが人工知能(AI)を搭載した最強レベルの囲碁ソフトに圧勝した。AIの弱点をコンピューターで分析し、盲点を突いた。囲碁は2016年に世界トップ級の棋士を破って以降、AIの実力が人間を上回る状況が続いてきた。AIはインターネット検索から自動運転まで幅広く活用され始めている。敗北がAIの課題を浮き彫りにしている。
人類がAIに勝利し、囲碁で機械を打ち破った――。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)によると、アマチュアの米国人、ケリン・ペルリン氏が最強クラスの囲碁AI「KataGo(カタゴ)」と15回対戦して14勝した。
同氏に協力した米FAR AIがコンピューターで弱点を洗い出し、100万回以上の対局をこなして盲点を発見した。アダム・グリーブ最高経営責任者(CEO)は「弱点を突くことは驚くほど簡単だった」と述べた。
囲碁での勝利は急速に進化するAIが「人間超え」を果たした象徴的な事例だ。米アルファベット傘下の英ディープマインドが開発した囲碁AI「アルファ碁」は16年、世界トップ級の実力を誇った韓国人棋士のイ・セドル氏を4勝1敗で破った。
囲碁の局面の組み合わせは膨大な数にのぼり、AIが人間に勝利するにはまだ時間がかかると考えられていた。
アルファ碁ではAIが自ら試行錯誤を重ねて勝ちパターンを学んで性能を高める「強化学習」と呼ぶ手法を用い、トップ棋士をしのぐ実力を獲得した。
囲碁は対局者2人が黒と白の石を交互に置き、石の取り合いなどを通じて、より大きな陣地を確保したほうが勝つゲームだ。今回の対戦では相手の石を包み込むように攻める特殊な戦略を採ったことで、AIは不利な状況に追い込まれていることに気づかなかった。
ペルリン氏は「人間なら簡単に見破ることができるはずだ」と語る。AIは過去に学習したデータに基づき判断するが、経験のない未知の状況への対応には課題を抱える。
日本でも芝野龍之介二段が強化学習で強くなった中国・騰訊控股(テンセント)系の囲碁AI「絶芸」とハンディをもらってオンライン対局し、今回と似たような手法を使って勝利を挙げた。
AIには間違いも多い。22年11月に公開された対話型AI「ChatGPT(チャットGPT)」は人間のように巧みに言葉を操る半面、事実誤認を含む文章を生み出すこともある。
学習するネット上の情報に偏りや誤りが含まれることなどが原因とみられ、開発元の米新興企業のオープンAIも「不正確または無意味な回答を書くことがある」と限界を認める。
車の自動運転に使う画像認識ではAIが学習したデータとは異なる道路標識などを見誤る恐れがある。米国では顔認識のAIのミスにより、過去に黒人男性の誤認逮捕も起きた。AIは進化を続けているが「万能」ではない。超えるべき課題も山積している。