今日の日経新聞ピックアップ(2023/1/23)
- スタートアップ投資ファンド、出資先の制限撤廃
来年にも法案提出 海外マネー集めやすく
・政府はスタートアップに投資する国内ファンドの出資先を巡る規制を撤廃する。いまは海外企業への出資比率を50%未満とするなどの上限がある。これをなくして投資先選びの自由度を高め、国内ファンドに海外マネーを流入しやすくする。国内でスタートアップを育成しやすい環境づくりにつなげる。
・対象とするのは投資家がお金を出し合う投資組合「LPS」で、ベンチャーキャピタル(VC)がリスクを分散するためによくとるスタートアップ支援の手法だ。
・投資家は有限責任組合員(LP)として参加するため、出資額以上のリスクは取らなくてよい。出資者にとって資金を投じやすい利点があり、小口でも複数の投資家から広く資金を集めるのに適した形態だ。法人格を持たないLPSは法人税を課されず利益が残りやすい面もある。
・政府はLPSの投資対象などを規制する投資事業有限責任組合契約法(LPS法)の改正案を2024年にも通常国会に提出する。
・政府は27年度までにスタートアップへの年間投資額を現状の10倍超の10兆円規模に増やす目標を掲げる。その達成に向け外国資本を集めやすくする。
・アジア全体を投資対象とみる海外マネーにとって、日本国内への投資比率を原則50%以上にするよう求める日本のLPSは資金を投じにくい。海外マネーを呼び込むうえで障壁となっているとの指摘が出ていた。
・LPS法は1998年の導入当時、投資マネーの海外流出を防いで国内市場に集中させる目的で海外比率の上限を設けた。およそ25年たち、政策目的と実態にズレが出てきた。法改正により海外投資家が国内で活動しやすくなるよう軌道修正する。
・世界のマネーの収縮で日本でもスタートアップ企業の倒産が増えている。高まった起業ムードを腰折れさせないよう、海外マネーの呼び込みによる下支えを狙う。