今日の日経新聞ピックアップ(2022/12/13)

  1. NISA大幅拡充、投資シフト加速
    政府・与党、年合計360万円に 恒久化と合わせ後押し

    少額投資非課税制度(NISA)の投資枠が2024年から合計360万円に広がる。政府・与党はつみたて型の年間枠を現行の3倍の120万円、一般型は2倍の240万円に拡大する。制度の恒久化と非課税期間の無期限化とあわせ、貯蓄から投資の流れを加速する。

    ・政府はつみたてNISAと一般NISAの投資額を今後5年で合計56兆円に倍増させる目標を掲げた。口座数も2倍の3400万をめざす。制度の恒久化に加え、配当金などに税金がかからずに投資できる期間の無期限化、投資枠の拡大で後押しする。
    ・つみたてNISAの現行の年間枠は40万円で、毎月の上限額は3万3333円だ。インターネット証券会社などからは「より多く投資したいという顧客ニーズに応えられていない」という声が出ていた。
    ・一般NISAを衣替えする「成長投資枠(仮称)」の年間枠も現在の120万円から240万円に引き上げる。退職金などまとまったお金を投資に回しやすいようにする。
    ・一般型は23年末に廃止し、つみたて投資した人だけが個別株に投資できる「2階建て」制度に移行する予定だった。複雑な制度が普及を阻みかねないため、この計画を撤回する。成長投資枠とつみたて型に同時に投資でき、使い勝手は良くなる。
    ・自民党税制調査会には一般NISAの拡充に否定的な意見もあった。損失リスクの高い株式への投資に使われているとの指摘のほか、販売手数料目当ての証券会社による顧客の勧誘を問題視する声があった。リスクが高い監理銘柄や整理銘柄、償還までの期間が短い投資信託は対象から除外する。
    非課税の生涯投資枠は1800万円とし、このうち成長投資枠は1200万円までとする方向で調整している。成長投資枠に300万円投資した人の場合、つみたて型は1500万円が上限となる。
    ・株の配当金や投信の分配金などから得る資産所得は米欧に見劣りする。ニッセイ基礎研究所によると、日本の1人あたりの資産所得(19年)は1800ドル(約25万円)と7900ドルの米国の4分の1にとどまり、ユーロ圏の2600ドルも下回った。
    ・投資を促す税制優遇の違いが大きい。米国や英国は家計金融資産のうち税制優遇制度を通して保有する資産が約2割あるが、日本は2%だ。
    ・NISAが手本とした英国のISA制度は年間投資枠を2万ポンド(約330万円)としており、日本が上回る。
    ・若年層への資産移転も促す。生きている間に子や孫に財産を移す生前贈与のうち、相続財産に加えて相続税の対象とする期間を現行の死亡前3年から7年へと延長する方向だ。
    ・精算課税の使い勝手を向上し、年110万円の贈与は申告不要として非課税にする。税務署への届け出などの手間がかかるとして敬遠されがちだったが、利用を強く促す。

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