今日の日経新聞ピックアップ(2022/11/22)

  1. アンモニア燃料、最大級の輸送船検討  JERAと海運2社、火力発電の脱炭素に活用
    東京電力ホールディングスと中部電力が折半出資するJERAと商船三井、日本郵船の3社は21日、大型の燃料アンモニア輸送船導入を検討すると発表した。輸送能力は世界最大級となるもよう。2027年度から運航を始め、海外から国内の火力発電所に輸送する。アンモニアを燃料の一部に活用することで環境負荷を低減して石炭火力発電所を維持し、段階的に脱炭素を進める。
    JERAは海運2社とそれぞれ連携協定を結び、2~3隻のアンモニア輸送船を新たに導入する方針だ。1隻当たりの輸送能力は5万~6万トンと、最大でも3万~4万トンだった従来船よりも大型になる。開発や建造にかかる費用は1隻あたり9500万ドル(約130億円)を見込む。輸送船の建造にかかる費用負担については、今後両社と協議して決める。
    ・アンモニアは燃焼時に二酸化炭素(CO2)を出さず、化石燃料に代わる次世代燃料として期待されている。JERAが輸入するのは製造時のCO2がゼロの「グリーン」「ブルー」のアンモニアで、石炭を燃料とする碧南火力発電所(愛知県碧南市)で燃料の一部として活用する。
    27年度からは年間で最大50万トンのアンモニア中東やオーストラリア、米国などから調達する計画だ。受け入れ拠点となる碧南では必要となる貯蔵タンクの整備なども進める。輸送船の燃料についても化石燃料からアンモニアに転換し、輸送時のCO2排出をなくすことも視野に入れている。
    JERAはIHIと組み、石炭にアンモニアを2割混焼して発電することを目指した実証実験を進めている。混ぜたアンモニアの分だけCO2を削減でき、20年代の実用化を目指している。さらに30年代前半には混焼率を5割以上に高める計画だ。JERAは40年代に国内の火力発電所を脱炭素化する目標を掲げており、アンモニアの調達量も段階的に増やしていく。
  2. バークシャー、日本の商社株買い増し  保有6%超に
    ・著名投資家ウォーレン・バフェット氏率いる米バークシャー・ハザウェイが、三菱商事や三井物産、伊藤忠商事などの国内5大商社株を買い増し、保有比率が6%を超えたことが21日分かった。バークシャーはエネルギー企業への投資を増やしているほか、米国偏重の組み入れを見直そうとしている。円建て社債の発行による資金調達計画も明らかになり、日本株買い増しへの期待は根強い。
    ・2020年8月31日、バークシャーは初めて5大商社株の保有を公表した。丸紅や三井物産の株価は取得公表日から約2倍になった。5社の平均上昇率は85%で、含み益が発生しているとみられる。日経平均株価やS&P500種株価指数の上昇率を大きく上回っており、バフェット氏の目利き力が発揮された形だ。
    ・バークシャーは傘下の子会社でエネルギー事業を展開する。投資運用資産の組み入れ銘柄をみても、エネルギー関連企業の割合は高まっている。直近では米石油・ガス大手オキシデンタル・ペトロリアムの株式を買い進め、9月に同社を持ち分法適用会社とした。インフレに強い銘柄を選好するなかで、資源高の恩恵を受ける商社にも注目している可能性はある。
    ・21日、バークシャーが「グローバル円債」の発行を準備していることが明らかになった。発行総額は不明だが、近日中に金利など発行条件を決めるという。同社は19年に円建て社債の発行を始め、これまで総額9000億円を調達してきた。20年の起債後に商社株の取得を公表しただけに、株式市場の一部では、商社株の買い増しや保有銘柄の広がりに期待する向きもある。
  3. パナソニック、欧州に省エネ暖房新工場  需要急拡大に対応
    ・パナソニックは省エネルギー性能の高い「ヒートポンプ暖房」の生産拠点を欧州に新設する検討に入った。電力を使い空気中の熱を活用するヒートポンプ暖房は、環境意識の高まりやロシア産燃料への依存から脱却する動きから市場が急拡大している。パナソニックは現在、欧州ではチェコ工場で生産しているが、2025年度以降に新たな拠点を建設する。
    ・建設地や規模は今後詰める。パナソニックは20年代後半にヒートポンプ暖房の生産規模を足元の6倍の年間100万台程度に高める目標を掲げている。現在はマレーシアとチェコの工場で生産しているが、既存工場の増強だけでは需要を賄いきれないとみて、新工場を建設する。欧州での生産地を増やし、事業継続計画(BCP)対応も進める。
    ・チェコ工場では足元で年15万台程度の室内機を生産しており、23年度中に室外機の製造も始める。新しい工場棟の建設も進め、25年度までに室外機と室内機の生産能力をそれぞれ年50万~60万台程度に高める。
    ヒートポンプ暖房は電気で空気を圧縮して熱を生み出して温水をつくり、配管を通じて住居内を暖める。欧州で主流のガスボイラー式に比べて二酸化炭素(CO2)排出量を半分以下に抑えられ、欧州各国が導入に補助金を出している。
    ・成長市場を狙い、空調各社も投資を加速している。最大手のダイキン工業は400億円強を投じてポーランドにヒートポンプ暖房の工場を新設するほか、三菱電機もトルコに工場を新設し、24年から生産を始める。ボイラー式暖房を中心に展開していたドイツのボッシュなど欧州勢もヒートポンプ暖房に投資をシフトしており、競争が激しくなっている。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です