今日の日経新聞ピックアップ(2022/6/22)
- 洋上風力バトル2
「落選組」コスモHDの逆襲
・2021年12月に洋上風力の大規模な公募で3海域を総取りした三菱商事。入札価格はいずれも1キロワット時当たり11~16円台と、洋上風力発電の世界最大手でデンマークのオーステッドをもしのぐ低価格だった。
・衝撃的な価格を前に、国内外のライバル企業は戦略の練り直しを迫られている。
・「もう20円台には戻らないだろう」。コスモエネルギーホールディングスは前回の公募ではレノバや東北電力などと秋田県由利本荘市沖の海域に応札したが、落選の憂き目に遭った。コスモの「秘策」は中東勢との連携だ。アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ首長国の政府系ファンド、ムバダラ・インベストメント子会社のマスダールと1月に提携した。「我々は英国で10年以上にわたり洋上風力を手掛けてきた。コスモの将来の入札を助けることができる」と強調する。
・「はたして自分たちだけでできるのか」。ENEOSHDが洋上風力の柱に据えるのは、約1900億円を投じて買収した再生可能エネルギー新興のジャパン・リニューアブル・エナジー(JRE)。JREは風力発電のノウハウを豊富に持ち、全国の漁業関係者と長年交流を重ねてきた。価格をもっと抑えるため、他社との提携も視野にJRE経営陣と膝詰めの議論を重ねる。
・三菱商事は設計から建設、保守点検まであらゆる工程を洗い直し、コスト高が染みついた日本のエネルギー戦略の隙を突いた。ライバルたちの挽回なくして将来の価格競争は生まれない。