今日の日経新聞ピックアップ(2022/6/10)
- マイナス金利、日本だけ
欧州は8年ぶり脱却 強まる円安圧力
日本が世界の金利上昇の潮流に取り残されている。欧州の国債利回りは欧州中央銀行(ECB)などの利上げ観測を背景に上昇(価格は下落)し、年限が2年以上の長期金利では、およそ8年ぶりにマイナス金利がなくなった。金融緩和を維持する日本は長期金利で唯一のマイナスとなり、円はほとんどの通貨に対して下落している。
一般的に金利が低い国の通貨は、金利の高い通貨より下落しやすい。高い金利の国に資金を置いて運用する需要が強まるためだ。円相場は9日に1ドル=134円台半ばと02年2月以来の円安・ドル高水準をつけた。
135円20銭より円安となれば、1998年の金融危機時以来の水準となる。「米国景気は強く金利差はさらに広がる。円安は経済実態に沿っており、下げ止まるメドが見えない」 - 豪でCO2地下貯留
JERAや東京ガス、1000億円投じ参画
資源開発などで出るCO2を埋めるには「CO2の回収」「輸送」「貯留」の3工程が必要で、一連の技術をCCSと呼ぶ。CCS=Carbon dioxide Capture and Storage。
「50年ゼロ」目標の達成には年50億トン強のCO2を貯留する必要がある。現在のCO2の年間の貯留可能量は約1.5億トンあるが、実際に貯留できているのは年4000万トン程度にとどまる。
豪北部では石油・ガス大手の豪サントスが、25年ごろの操業を目指して年間1000万トン規模のCCS基地を建てる計画を進める。世界で稼働するCCS設備の貯留総量の25%に相当し、世界最大級の基地になる見通しだ。この事業に日本勢3社が出資を検討する。 - 再生エネの大型蓄電池網
NTT系・九電・三菱商事が連携 余剰分を充電、安定供給
充電できる電力量は4200キロワット時で、約350世帯分の1日の電力消費量に当たる。晴れた日に太陽光でつくった電気を充電する。ためた電力は原則、電力の需給を調整して報酬を得る「需給調整市場」、電力の供給力を売買する「容量市場」、翌日の電力量を取引する「卸電力市場」の3市場で売って収益を得る。24年度の事業化を目指す。
電気は需要と供給を常に同じにする必要がある。需給バランスが崩れると、電気の質である「周波数」が乱れ、大規模停電を引き起こすリスクが高まる。再生可能エネルギーは天候や時間帯によって発電量が大きくぶれる。再生エネでたくさん電気をつくっても、需要を上回ればその分だけ出力を抑える必要がある。
蓄電池の課題はコストだ。エネルギー基本計画によると、産業用蓄電池の発電コストは19年度時点で1キロワット時当たり約24万円。政府が掲げる30年度時点で同6万円程度という目標には遠い。 - 観光客回復、欧米が先行 世界で3倍に
日本、きょう受け入れ再開 厳格な規制で出遅れ
新型コロナウイルス対策の入国者数の上限が緩和され、10日には観光目的のビザ発給が始まる。コロナ禍前に年間4兆8000億円に達したインバウンド(訪日外国人)の消費額は今回の緩和で「現在の入国者数上限でコロナ前と同程度の消費が実現すれば、年間1.1兆円程度のインバウンド消費が見込める」と話す。円安も追い風となり、コロナ前のインバウンド消費の5分の1は回復すると見込む。
日本が水際対策の緩和に動いても、訪日客やインバウンド消費が急回復するかは不透明だ。コロナ前の訪日客の3割、インバウンド消費の4割を占めた中国が、ゼロコロナ政策を続けているからだ。